よもやま話 第10話 台北で聞いたお葬式のこと

2月22~23日、安楽寺住職、台北を訪問。ーPart2ー

ちょっとお葬式について聞いてみました。日本の習慣から見るとチョット驚くことを聞きました。台湾では、亡くなられてもすぐにお葬式はしないで、1ヶ月あるいは49日間、家の一部屋で遺体を置いておくのだそうです。七日毎に供養して49日にお葬式をするのが基本になっていて、遺体を密閉して置いておくので、その技術も重要なことなんだそうです。50代の方に聞いた話ですが、その方の子供の時、おじいさんのご遺体は、2ヶ月置いたそうで、臭いもし、大変だったとのことです。

旧暦7月は「鬼月」と言って葬儀をしないそうです。鬼月は、あの世の鬼門が開き供養されてない霊が出てきてさまよう月で、その霊の供養をしなければならないからで、これが台湾のお盆で、日本のような家のご先祖を祀ることではないそうです。
日本でも、盆の入りに「地獄の釜の蓋が開き」、お盆に「三界万霊」に供養してきましたので、それと同じことですが、最近では、地獄の釜の蓋が開いて霊がさまようイメージは薄れ、「三界万霊」を供養する人も減ってきています。
家ごとに我が家のご先祖だけを供養するのが、日本のお盆になってきています。自分本位の風潮が習俗にも現れているのでしょうね。「情けは人のためならず」なのですが・・・。

鬼月の7月に亡くなると1ヶ月は待たされることになりますし、生まれた年月日、亡くなった日などから、お葬儀をしていい日が決められるので、その日まで家でお守りするのが普通で、してはいけないしきたりが、沢山あるようです。
いろいろなしきたりや習慣が昔からあるので、お家の方がそれを全部マスターして行うことが難しく、今では専門の企業が、葬儀についての取り決め事を全て取りはからう業務をしているそうです。
都市部では年々、そういう知識を持つ人が減り、全てそういう企業に任せるようになってきており、3~4社ほど大会社があるそうです。それらの会社が扱う時、葬儀と言わずに「生命禮儀」と言い、死をイメージさせない用語を使い、女性社員が対応するようにして、死のイメージを感じさせないように、やさしい対応をするようにしているらしいです。女性社員を多用することは、日本の最近の葬儀社にも見受けられる傾向ですね。

田舎では自宅ですることがまだ多いようですが、都市部では殯儀館という葬儀会館で葬儀をすることが多くなり、遺体を置く期間も短くなってきているそうです。

聞いた話では、賑やかに送るのが台湾式の葬儀で、葬儀を簡略にすることは親不孝だとされ、盛大に親を送ることが一番の親孝行になるのだそうです。台北を訪問したときに葬列を見たという方は、見たとき、「音楽隊か何かお祭りの列なのかな」と思ったそうです。

短時間に垣間見た(聞いた)だけですが、いろんな習俗を見聞きしていると、住職にとってはどのように儀礼をされているのか、探求心の尽きないことばかりです。

殯儀館(ひんぎかん)

車で移動中、通訳の方が、「あれが殯儀館(ひんぎかん)です」と教えてくれたので、車中から撮ったもの。門には、「台北市殯葬管理処第1殯儀館」と書かれている。

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